「海新山(かいしんざん)」(学芸大学・五本木)の不思議おいしいラーメン&餃子はコラーゲンがたっぷりで、お母さんの優しさとこだわりが溢れ返っています。

テレビや雑誌でよく紹介されるお店が学芸大学駅界隈には何軒かあります。その内の一軒が「海新山(かいしんざん)」。

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学芸大学駅から徒歩約7分、祐天寺駅から徒歩10分弱。駒沢通り・五本木交差点のすぐ近くにあります。学芸大学駅から行くのであれば、商店街を通らず、線路に沿うように駒沢通り方面へ向かい、駒沢通りと東横線が交差する地点の信号を渡って行くのが一番近いです。

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入口には「古代中国料理」という文字も見えます。来年、2017年で創業50年を迎える老舗はもともと中華料理店でした。昨年、他界された旦那様は”蒋介石の料理人”だったとの噂があり、中国大使館の料理人をしていたそうです。

個性が強く、だけど料理界からは一目置かれていた旦那様が亡くなって以降は奥様がお店をなさっています。ただ、メニューはラーメンと餃子のみです。後ほど詳しく紹介しますが、「海新山」=コラーゲン。ラーメンも餃子もコラーゲンたっぷりです。

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小さなカウンターと小さな丸テーブル。この回転する中華テーブルが中華料理店であったことをかろうじて匂わせています。

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ラーメンは現在は2種類。スペシャルラーメン(塩・味噌)と上上ラーメン(塩・醤油・味噌)。スペシャルラーメン(塩)と餃子をお願いしました。

壁にはいろいろなことが書かれています。

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スープは全部飲んで下さい
餃子のタレはラーメンに入れても美味しいです
コラーゲンで若さを保とう
餃子はダイエット食品

思いが溢れ出て止まらないんでしょうね。こだわりが強く、主張する店、大好きです。

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「ついったぁ」「ツイーター」。「ついったぁ」のついでに書いたであろう「てれふぉん」。そして「パヒューム」。いい。とてもいい。こういう書き文字にキュンキュンします。

ラーメンと餃子がやって来ました。

「できればスープは残さず飲んで下さいね。餃子のタレはラーメンのスープに入れてもおいしいですよ」

「はーい」

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なんだかとてもいい香りがします。まずはラーメンのスープをひとすすり。ふたすすり。みすすり……。と、止まんねぇ。うま過ぎる。だけど、とても不思議。

料理をする人、ダシを取ったことのある人ならわかるはず。ダシの成分が濃くなれば、当然、味わいも濃くなります。たとえば、近くの「びぎ屋」を思い出して下さい。鶏、豚、魚介のダシが存分に抽出されたスープはとても濃厚です。

「海新山」のスープも、きっとダシが出まくっているはず。うまみが詰まっているのはわかるんです。けど、「うわっ濃厚!」ってわけじゃない。ただ、濃厚ではないけど深みはある。と言いつつ、深みはあるけどさっぱりしている。さっぱりしてるのに芳醇。うん、読んでてもよくわかんないよねw だけど本当にそうなんです。

そして、飲んだそばから体にしみわたっていくように感じます。胃というよりも体の組織にしみ込んでいくような。もちろん、そう感じるというだけのことではあるのですが。なんなんだ、このスープ。

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餃子はとてもジューシー。コラーゲンなのでしょう。うまくてワシワシいっちゃいます。かすかに柑橘の香りが漂うタレもいい。ラーメンを半分ほど食べた頃合いに餃子を食べ終え、お母さんがおっしゃった通り、餃子のタレをラーメンのスープに入れました。おおう。この味は……。そうそう、酸辣湯(サンラータン)だ。

生まれてこの方、店で出されたラーメンのスープを残したことなんざありません。当然、スープはすべて飲み干しました。ただ、飲み干しても胃がまったくもたれない。なんて言うのかなぁ、とてもいいものを頂いた、贅沢させて頂いた、そんな気分。

いやぁ、こいつは本当にうまいなぁ。

食べ終えると、白い髪飾りをしたかわいらしいお母さんがボウルを抱えてやって来ました。

「これがコラーゲンよ。スープの70%がこのコラーゲンなの」

少し茶色っぽいプルンプルンのコラーゲンが大きなボールにいっぱい。

「これは何から採ってるんですか?」

「鳥、豚、野菜、あさり、しじみとか、いろいろ。これだけ作るの大変なの」

よくわかります。

「めっちゃおいしかったです」

「ほんと? ありがとう。またぜひ」

「はい、ごちそうさまでした」

珈琲でも日本茶でも、プロで沸騰したお湯で作る人はいません。沸騰したお湯ですべて煮込んだら全部吹っ飛んでしまうからです。コラーゲンも同じです。

粉末を入れただけや、ただやみくもに煮込んだコラーゲンを冷凍して解凍するだけならいくらでも作れるのです。

でも海新山では、古くてもせいぜい1~2週間の新鮮な手作業でできたコラーゲンを用意しているので、ちょっとお客さんが来ただけですぐなくなってしまうのです。

でもこんな厳しいことを書きましたけどコラーゲンを作るのは楽しいですよ。できたら一生作っていたいです。

「海新山」のツイッターに書かれていることです(もしかしたら、息子さんが代わりに書いたものも含まれているかもしれませんが)。ツイッターの一連の投稿を読めば、どれほどこだわっているか、どれほど大変かがよーくわかります。

ラーメンで1000円(あるいは1500円)というと高く感じるかもしれません。でも、食べればわかります。この極上スープはその値段でも安いくらいだと。

コラーゲンの抽出法、作り方は門外不出の秘伝だそう。息子さんが継がれるのかどうかはわかりません。ですから、もしかしたらそう遠くはない将来に失われるスープです。ぜひ一度「海新山」のラーメンを食べてみて下さい。ああ、こんなラーメンがあったのかと衝撃を受けるはずです。そして、おいしいラーメンと優しくてチャーミングなお母さんに、心も体も元気にさせてもらえます。

海新山
東京都目黒区五本木2-53-8
03-3719-7678
食べログ
twitter @kaishinzan
※作れるスープの量に限界があります。不定休なので、確実に開いている日に行きたいということであれば、twitterや電話で確認して下さい

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡ったお店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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