氷屋「札場氷室(ふたばひょうしつ/ふだばひょうしつ)」(学芸大学)の夏季限定かき氷は軽くてサクサクで、150円というビックリ価格。老舗氷店で食べるかき氷は風情があって、夏が気持ちよくなります/氷屋さんの氷のマメ知識

千鳥、青波、赤い「氷」の文字。氷旗は夏を感じさせると同時に、これを見ただけで涼を感じさせます。小さい頃から刷り込まれた日本人としてのDNAがそうさせるのでしょう。

学芸大学駅から徒歩15分。祐天寺駅からだと15分強、三軒茶屋駅からは20分弱。東京学芸大学附属高等学校のすぐ隣に「札場氷室(ふたばひょうしつ)」という氷屋さんがあります。

基本的には飲食店等への卸売り(業務用)がメインなのかな。夏だけかき氷屋さんをやっています。

「ブッカキ氷」がもともとの名称。これが縮まって「カキ氷」という言葉が生まれました。札場は「ふだば」じゃなくて「ふたば」だと、この看板でわかりました。いろいろな読み方があるんだなぁ。

※そもそも「札場氷室」に関する情報がネット上に皆無ではあるのですが、「ふたば」と正確に記載しても、調べる方のほとんどが「ふだば」と読んでいるでしょうから、あえて「ふだば」ともタイトルに記載しました。

時折、前の道(下馬通り)を通るのですが、タイミングによっては行列になっています。多くは高校の子たちでしょう。

イチゴ、レモン、メロン、カルピス、カンロ、ブルーハワイは150円。ミルク、あずきは200円。ミルクをプラスするなら+50円。縁日価格です。いや、縁日より安い? これなら高校生でも買いやすいですよね。

余談ですが、かき氷のシロップは色が違うだけで、基本的にはどれも同じ味です(少々の香料の差はあるかもですが)。赤ければイチゴ味に感じるし、緑だとメロン味に感じる。色で味を錯覚させています。何気にすごい技だ。あるいは、私たちの味覚なんてのは案外アテにならないとも言えるw

近くの現場で作業をしているであろうおっちゃんが、イチゴを3個注文していました。仲間用に買って行くのでしょう。けど、これをビニール袋に入れて持って行こうとしてるんですが、まあまず無理でしょうなぁ。この炎天下だと1分が限界だと思うよ。大丈夫だったかな?w

さて、次は私の番。「イチゴミルクお願いします」と告げると、ちょうど氷がなくなったようで、新しい氷がセットされました。透き通ったキレイな氷です。

「きれいな氷ですね。ここで作ってるんですか?」

「いえいえ、工場で作ってて、それを仕入れてるの」

「かき氷は確か夏だけですよね」

「そう、夏の間だけ」

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「どれくらいって…」

「昭和…」

「昭和40年代とか? いや、40年代ってことはないわね」

「戦前とか?」

「いえいえ! 戦後よ」

まだ東京学芸大学があった頃かな(1964年に小金井市へ移転)。当時の学生さんたちもこのかき氷を食べてたんだろうなぁ。

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カップにまずシロップを少し入れるお姉さん。電動のかき氷機は、どんどん氷をスライスしていきます。カップの半分ほどまで氷が入ったら、シロップと練乳をかけます。さらにカップからこぼれ落ちそうになるほど氷を削ったら、最後に再びシロップと練乳。

できあがったものを店頭ですぐ撮影。こんな撮影、15秒くらいですよ。けど……

あわわ。やばっ。もう溶け始めてる。早く食べよう。

薄く削られた氷をストロースプーンですくいます。とても軽い。口に入れるとサクッとした食感。しかし、体の熱が一瞬にして氷を溶かします。

日に焼けた高校生たちの賑やかな笑い声、年季の入った氷屋の佇まい、シャシャシャという氷を削る音、滴る汗、口内に残るシロップと練乳の甘さ、そしてかすかな涼。夏だなぁ。暑いんだけど、なんだか気持ちがいいなぁ。

この記事を公開したのは7月24日。翌日、7月25日はかき氷の日です(日本かき氷協会が制定)。夏氷(な・つ・こおり=725)の語呂合わせというのと、1933年7月25日、山形県山形市で当時の観測史上最高気温40.8度を記録したから。

最近はオシャレなかき氷屋さんが人気です。そういうお店ももちろんいいのですが、近所に氷屋があるかどうかを調べて、老舗氷店の軒先でかき氷を食べる。これはこれで風情があっていいものですよ。

札場氷室(ふたばひょうしつ)
東京都世田谷区下馬4-2-13
03-3421-0089

氷の世界

「氷」という漢字について

もともとは「冰」。「冫」(にすい)に「水」。これが「氷」という漢字になりました。

「冫」(にすい)は氷の割れ目を表す象形文字からきていて、冷たいことを意味します。冷たい、凍る、凝る(こおる)。冴は冴る(こおる)とも読め、凛はもともと寒いという意味です。

工場で作られる純氷

製氷工場で作られる氷は純氷(じゅんぴょう)とも呼ばれます。純氷は工場もしくは「札場氷室」のような氷の卸店・小売店で購入できます。

詳細は他所に譲りますが、純氷は水から不純物を取り除きつつ、48時間、場合によっては72時間ほどかけゆっくり凍らせて作ります。結果、透明度が高く、固くて溶けにくい氷ができあがります。

氷のサイズ

製氷に使う缶にJIS(日本工業規格)があるようです(具体的なJIS名称、番号は不明)。このため、製氷メーカーが作る氷(氷柱)は100×55×26cmで135kg=36貫となります。一般的にはこれを36等分し、1貫(3.75kg)単位で販売しています。実際には1貫を半分(あるいは三等分、四等分など)にして納品されることが多いのでしょうけど。購入者(特に飲食店)の使い勝手から。

かき氷機にセットされる氷は0.5貫です。これで7、8杯分のかき氷が作れるそうです。

街の氷屋さん

減ってきてはいるのでしょう。けど、実は何気にチラホラと見かけます。学芸大学視点で言えば、「やまね」(武蔵小山)、「氷石ばし」(三軒茶屋)、「井上氷室」(三軒茶屋)、「太田屋氷室」(深沢)などなど。「氷石ばし」のかき氷も有名ですね。

余談ですが、学芸大学でも氷屋から氷を仕入れているお店がいっぱいあって、「札場氷室」から仕入れているというお店もありました。

活用例


毎年、隅田川の花火大会を見に行くのですが、その際、必ず氷屋さんで氷を買っています。炎天下だとコンビニ氷はあっという間に溶けてしまいます。でも、氷屋の氷は本当に溶けないです。昼過ぎ~夕方前に買って屋外に出しっぱなしにしていても、夜まで残ります。

ちなみに、氷屋さんの氷は1貫(3.75kg)で400~500円ほど。コンビニ氷と値段はさして変わりません。

ん? 1貫は3.75kgか。いやぁ、毎年、めっちゃ重いけどなぁ。何貫も屋上まで運んでるからか。

どの氷屋さんも個人へ小売りしているとは限りません。もし購入したいなら、事前に問い合わせてみて下さい。

参考サイト

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡ったお店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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