「モンゴメリー」(学芸大学)の豚骨醤油ラーメンは時に優しくて柔らかく、時にガッツリ濃厚。スウィングする「モンゴメリー」のラーメンは幾度食べても飽きが来ないので、学大住人は必ずリピートしてしまうのです

学芸大学駅から徒歩1分。東口正面にある八百屋「ボラボラ」の脇の細い路地を道なりに進むと「モンゴメリー」というラーメン屋さんがあります。学芸大学でも屈指の人気ラーメン店です。私は幾度か食べていますが、今回はまだ食べたことがない連れと来ました。

「ラーメン専門店」はよくある。けど、「栄養豊富」はあまり見ません。あえてこのひと言を入れるってところに、何かメッセージを読み取りたくなります。そして、「ラーメン専門店」「モンゴメリー」のフォント。変わったフォントなんですが、既視感もあります。なんだろう。昭和の特撮・怪奇系の映画ポスターのような、あるいは……早く店に入れって?w


カウンター8席のみの小さなラーメン屋です。BGMはジャズ。いつも「モンゴメリー」に入って感じることがあります。「モンゴメリー」のスープはとても濃厚なのに、その割には店内がそれほど豚骨臭くないんです。これが不思議。どうしてだろう。

注文はこのようにして下さい。私はキャベツ・普通、連れは辛ネギ・普通を注文しました。

これは以前に食べた、トッピングなしのデフォルトのラーメン(700円)。


で、今回のキャベツ(700円+100円)と辛ネギ(700円+150円)。

青磁の丼です。ラーメンをやってた頃の「きんちゃん」も青磁の丼だったんだよなぁ。ラーメンショップ系家系なども青磁の丼を使っていることが多いような気がします。駒沢大学の「家丸」も青磁だし。白や黒が現在の主流なんでしょうが、青磁ってのはなぜだか懐かしい感じがしていい。

ん? キャベツはノリが立てられてるぞ。隣のネギは寝てる。単にスペースの問題なのか、たまたまネギの方は倒れただけなのか、あるいは何か意図があるのか。ふふ、ノリ一枚でいろいろ想像を膨らませるってのが、なんとも楽し……早く食べろって?w

久々だなぁ。ラーメン自体を食べる機会がとんと減ってしまったしなぁ。まずはスープをひと口。

「!」

モンゴメリーのスープは豚ゲンコツや鶏ガラなどで作られていて、10種ほどの野菜をブレンドした香味油が使われているのだそう。基本的には豚骨醤油なんですが、記憶していた味とかなり違います。前回はとても甘みが強くてまろやかな印象でした。けど、今回は醤油がかなり強く出ています。豚骨感はマイルドなんですが、味わい自体はガッツリで濃厚。パンチがある。

この差はいったい……。いくつかの可能性を考えました。

  • 日によるブレ
  • 季節によって変えている
  • トッピングによって変えている
  • 年月と共に変化させてきた
  • 単なる私の勘違い・記憶違い

最後はさて置き、どれであってもまったく構わないのですが(むしろ私はプラスとさえ思います)、なんなんだろうな。体調によって感じ方が変わることもあるし、開店直後とスープが少なくなってきた閉店間際では煮詰まり方も違ってくるしなぁ。なんなら、客を見て味を変えるというラーメン屋もあるくらいだし。まあ結局、想像の域を出ませんから、考えても仕方ないかw

いずれにせよ、今回は醤油が前面に強く出た、濃厚でパンチのあるスープでした。パンチはありますが、変な臭みはありません。そして、単に強いというだけではなく、深みを感じさせてくれます。

コシのあるブリッブリな中太の縮れた麺(手揉みによる縮れ?)はこの濃厚なスープを引き連れ、口内で暴れまくります。デフォでついてくるのが嬉しい玉子は、コクのあるスープをマイルドにしてくれます。チャーシューはしっとりとしていて柔らかく、食べごたえがあります。シャクっとしたキャベツ、ピリ辛のネギはいいアクセント。

前回と印象は違うけど、やっぱうまいなぁ。

卓上に置かれた調味料類。こいつがまた悩ましい。胡椒、ニンニク、唐辛子などに加え、ショウガ、お酢もあります。「こうや」(矢口渡)も似たようなラインアップ。ラーメンショップ系でもこんな感じのところがあります。まったくないわけじゃないですが、珍しいっちゃあ珍しい並びです。今度、しょうがや酢を試してみよう。

基本的にラーメンのスープは残さないのですが、その日は連れが食べきれない分も平らげたので、全部を飲み干すことができませんでした。あちゃちゃ。

勘定を終えると、こちらから尋ねたわけでもなく、店主はこんなことをおっしゃいました。

「麺は南京軒です。去年、それまで麺を仕入れていた製麺所が潰れてしまって、変えたんです」

武蔵小山の老舗製麺会社・南京軒食品です。閉店してしまった「ジャンボ」が南京軒食品の麺でした。なんでわざわざ南京軒食品とおっしゃったんだろう。

確かに気にはなっていました。ギュッギュっと力強く麺を揉んでから茹でている様子をつぶさに見てました。麺の入った木箱もチェックしました。側面に書かれているであろう製麺所名が見えなかったから、少し残念に思っていたのも事実。

けど、私がそこまで考えていたとはわかっていなかったはず。あえて南京軒食品だと言ったのには、何かメッセージが込められてる? 何かのなぞ解きを私にさせようとしてるのか? 単にブログ用にひとつネタを提供してくれただけ? あるいは私の考え過ぎで、他意があったわけじゃない??

くぅ~。「南京軒」というひと言は私を惑わせるに十分なひと言でした。やられたw

店主・福井滋巳さんは島根県松江市出身。ジャズバーで働いていたこともあり、2000年に「モンゴメリー」をオープンさせました。店名の「モンゴメリー」はジャズギタリスト、ウェス・モンゴメリー(1923年~1968年)に由来するのだそう。

ウェス・モンゴメリーのつま弾くギターには大きな特徴があります。親指一本で弾くということと、オクターブ奏法です。これらが相まって、とても優しく柔らかい音が奏でられます。

「モンゴメリー」のラーメンもウェス・モンゴメリーのギターのように優しくて柔らかい――そう書ければキレイにまとまるのですが、今回食べた印象だと、そうは締められないw 確かに以前は甘くて優しい味わいでした。けど、今回はパンチがきいてて、醤油が強くてガッツリ濃厚。はてさて、この記事をどう……。

ああ、そうか。これが“スウィング”ってやつなのか?

決まった分量の豚骨を煮ていても、毎回、同じ味になるわけじゃない。仮に同じになったとしても、まったく同じことがいいとも限らない。豚骨醤油という譜面の中で、日によって(?)その味わいはかすかに揺れる。けど、その揺れによって、前回の味、今回の味、次回の味とアクセントがつき、独特のリズムが生まれます。まさにスウィングです。そして、これが気持ちのいいグルーヴとなり、私たち学大住人は飽きることなくまた「モンゴメリー」を目指します。

「学大のラーメンで一番好きかも。豚骨が強すぎなくて、醤油の味がするし」

初めて「モンゴメリー」を食べた、豚骨ラーメンがあまり好きじゃない連れがそう言いました。そうだね。確かに、福岡豚骨が苦手な人でも、このラーメンなら食べられるだろうなぁ。

学大を代表するラーメン店「モンゴメリー」。もしまだ行かれたことがないのなら、ぜひ一度。店内に流れるジャズのスウィングに身を任せ、スウィングする豚骨醤油ラーメンをすすれば、そのおいしさに心もスウィングするはずです。

モンゴメリー
東京都目黒区鷹番3-1-4
19:00~25:00
木日休
食べログ

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡ったお店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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