居酒屋「瓶」(三軒茶屋)のほほえましい風景はまさしく”家庭的”

一見で入ったインディーズ居酒屋のよさを量る目安がキープボトルです。キープボトルが多い店はそれだけ多くの人に愛されているということ。キープボトルが多いとホッとします。

「間違いじゃなかった」

と。

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国道246号の一本裏手、明薬通りを横断して伸びている中里通り商店街。老舗から新しい店まで、いろいろな飲食店があり、とても面白い商店街です。そんな中里通り商店街の路地をちょっと入ったところに居酒屋「瓶(びん)」があります。

ちょくちょく通っているのに、ここにはまったく気づきませんでした。たまたま先日見つけたので、もちろん突入。カウンターだけの小奇麗な居酒屋です。入口そばとカウンター向うにキープボトルがずらりと並んでいて安堵します。

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カウンターの向こうにはお母さん。カウンターの一番端に男性客。この二人の会話があまりにもぶっきらぼうです。面白くもあり不思議な感じがしたのですが、のちに、この男性はおそらくこの店のマスターだろうことが判明しました。だとしたら納得。長年連れ添った夫婦の会話っぽいですw

お母さんがまた不思議です。こういう類の店の女将さんは、だいたい柔らかいイメージ。けど、「瓶」のお母さんはちょっと違います。クールというか淡泊というかさっぱりというか。こういう感じも悪くないですね。

お通しは、しらすおろしとほうれん草のおひたし。せっかくなので一品、なす味噌を頼んでみました。

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酒飲みにはたまらない濃い味付け。おいしいです。ただ、不思議なのが肉。牛肉でした。牛肉を使うかなぁ。客としてはおいしいのでいいのですが、原価を考えると普通は豚肉を使うはず。

なす味噌をほおばりながらテレビを見ていると、お父さんが女将さんにこう言いました。

「そういや、ウチに肉残ってたぞ」

これでこの二人がご夫婦だと判明しました。私は二人を見ていません。テレビを見ながら会話が聞こえてきた程度。しかし、話が途切れます。おそらくですが、女将さんがマスターをキッと睨みました(たぶん)。マスターはこう言います。

「構やしねぇだろ」

これでピンと来ました。なるほど。自宅用に買った牛肉が余っていたので、店で使ったんだな、と。今まさに私が食べているのがその肉だと知らず、タイミングの悪いことをマスターが言ったもんだから、お母さんが睨んだな、とw

もちろん、何も聞こえないフリをしてテレビを見続けます。心の中でクスクスしながらw

芋焼酎の水割りを2杯、なす味噌を頂き、店を出ました。私が店を出たあと、お父さん怒られなかったかな。

「あんた、余計なこと言わないでっ!」

とかw

そんなことを想像し、ほほえましい夫婦の姿にほっこりして、家へと向かいました。よく”家庭的”なんて言葉を目にしますが、まさにこここそ、本当の意味で”家庭的”だw

また一軒、素敵なインディーズ居酒屋に出会えました。


東京都世田谷区上馬1-16-9
03-3414-3108
※鶏肉精肉店「信濃屋」の路地を入ったところ

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡ったお店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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