下馬のそば屋「光月(こうげつ)」は人におすすめしづらいですが、自信を持ってこう言えます。私は大好きです、と。

明薬通りと下馬通りの交差点に「光月(こうげつ)」というそば屋があります。日曜日の11時に行ったらまだ開いていませんでした。ちょっと用事があったので、三軒茶屋の100円均一ショップ「Seria(セリア)」などへ行き、11:30に戻ってきたら開いていました。

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私が口開けでした。汗だくで入ったのですが、ひんやりと冷房がきいていて気持ちよかったぁ。冷えたお水を頂き、注文しようとするのですが、な、悩む……。

こういう街場のそば屋では味に期待してはいけません。だけど、一応確認したいから、もりそばは食べたい。でも、カツ丼も気になる……。迷ったら2ついっちゃえばいいのさっ!

「カツ丼ともりそば下さい」

「だったらセットにするのはどうですか?」

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カツ丼とたぬきのセットができるんだから、そりゃ丼ともりもセットにできるかw カツ丼&もりそばのセットをお願いしました。

それなりに古いお店のはず。その割にはきれいです。お父さんはそば担当、お母さんはカツ丼を作っています。お二人ともほがらかでとてもいい感じ。途中、アルバイトの女性がやって来ました。この方もかわいらしい方でした。

そして出てきたのがこちら。

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これぞもりそば!w いや、ほんと。本当の、本来的な意味では、これが正しいもりそばです。

江戸時代、ある店が他店との差別化を図るため、そば(そば切り)をざるに盛り、「ざるそば」と呼んで売るようになった。これがざるそばの起源。で、普通に器に盛られた従来のそば(そば切り)は「もりそば」と呼ばれるようになりました。ですから、歴史的に見れば、器に入れたこのそばを「もりそば」と言うのは正しいのです。もちろん、「光月」としてはそんなことまで意識してるわけじゃなく、セットの場合は器、単品の場合はざるに盛る、くらいな感じなんでしょうけどw

そばは典型的な機械麺です。汁は激甘。なるほどなるほど。壁に「カツ丼・たぬき」と書かれていた理由がわかりました。こりゃ、もりで食べるよりたぬきにしたほうがいいよねw

それにしても、なぜ、牛丼、カツ丼、カレー丼はたぬきとのセットで、親子丼だけがきつねなんだ? 「おすすめ」としているからには、なんかワケがあるんだろうなぁ(上写真参照)。あ、そうか。たぬきでもきつねでもよくて、両方あるってことを知らせるために、便宜的にこう分けているだけか。

いや、待てよ。もしかしたら、とてつもないこだわりがここに隠されている!? 牛、豚と油揚げは相性がよくない。鶏には天かすよりも油揚げの方が合う。と思ってたり? んなわけねーかwww

カツ丼はミニサイズのはずですが、それなりにボリュームがあります。濃くて甘いダシです。これこそそば屋のカツ丼。

食べている間、ひっきりなしに電話がかかってきていました。出前の注文です。途切れることなく鳴っています。猛暑でご近隣の方々は出たくないのかな? そういえば、表にはカブが停まってたなぁ。街場のそば屋の見本のような店だ。

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正直、「光月いいよ~。今度行ってみなよ」とは口が裂けても言えないw

でも、だけど。

駅前のチェーン系のそば・うどん屋と、100gで1000円する高級な手打ちそば屋の2極化が進んでいます。なんでもある、定食屋のごとき街場のそば屋は少なくなってきています。

庶民の、地域住民の味方として長年続いてきた街場のそば屋には、敬意の念しか抱けません。そして、できるだけ長く続くことを願い、もし仮に滅びることがあったとしても、最後までその姿を見届けたいと思います。

だから。

人におすすめはしませんが、自信を持ってこう言いたい。

私は「光月」が大好きです。と。

次回はおそらく、「牛丼・たぬき」セットを頼みつつ、「これ、きつねにもできるんですよね? なんで親子丼だけがきつねなんですか?」と聞きに行くでしょう。いや、もっともっと、いっぱい聞きたいことがあるな。お父さん、お母さんといっぱい話してみたいな。

そんな風に感じさせてくれるお店、人って素敵じゃないですか?

光月(こうげつ)
東京都世田谷区下馬4-2-9
03-3421-6587
食べログ

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡ったお店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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