肝臓公司ロゴ

松月庵(学芸大学)は近隣住民に愛される街場のそば屋。松月庵の謎について聞いてみた。

謎というほどのことではないですし、なんとなく想像はつくのですが、真相を実際に聞くべく、学芸大学駅近くのそば屋・松月庵に行ってきました。

なんのことかって? 詳しくはこちらの記事をどうぞ。

世田谷区野沢のそば屋「松月庵」で壁谷一族のかすかな香りを感じました

簡単に説明します。

shougetsuan-gakudaiの画像
野沢・松月庵のメニュー。松に月のマーク

大正末期~昭和初期、愛知県蒲郡市から壁谷性の青年が上京してきて、そば屋を始めます。これが松月庵の元祖です。松月庵は大盛況。壁谷青年は一族を東京へ呼び寄せ、一族や従業員をどんどん暖簾分けさせます。結果、関東を中心に松月庵がいっぱいできました。世田谷区野沢の松月庵(閉店)もこの流れをくんでいて、その証拠が松月庵のロゴ。これを使っていたら、松月庵麺類協同組合に所属しているそば屋です。

さらに、私の手元には東京松月庵麺類協同組合のリストがあります(2010年当時)。ここに載っていれば間違いなく組合員。ところが、学芸大学駅近くの松月庵はこのリストに載っていません。その真相を追究しようってことです。

というわけで、学芸大学駅の西口を出て、都立大学方面へと線路沿いに行ったところにある松月庵に行きました。

shougetsuan-gakudaiの画像

1974年創業という情報もあります。看板や暖簾にはロゴがありません。店内に入ってみましょう。

shougetsuan-gakudaiの画像

店内のどこにも、メニューにもロゴはありません。とりあえず、カツ丼、天丼、せいろを頼みました。当たり前ですが、一人じゃないですよw 二人で、です。

料理がやって来ました。注目すべきはお盆と箸袋。

shougetsuan-gakudaiの画像 shougetsuan-gakudaiの画像

例のロゴがない代わりに、お盆には朱色の丸に「松月庵」のかすれた文字。箸袋には「学芸大学駅前 目白 等々力」とあります。話が前後してしまいますが、会計時に聞いてみました。

「こちらは松月庵麺類協同組合のお店ではないんですか?」

「なに組合とおっしゃいました?」

「いえ、他にも松月庵っていっぱいあるじゃないですか。それらとは違うのでしょうか?」

「たぶん、そういうところから枝分かれしてできたんだと思います」

「箸袋には目白、等々力とありますよね。これは系列なんですか?」

「同じ所で修行していた人間がそれぞれ開業して、どうせなら一緒にこうして箸袋に載せようか、と。そういう感じだと思います」

ご家族で経営されていると思うのですが、おそらくはもう何代も前の話なのでしょう。お店のかたはよくおわかりになっていないようでした。

ただ、うかがった話から推察はできます。

  • 学芸大学駅近くの松月庵は松月庵麺類協同組合に所属していない
  • もともと松月庵で働いていた(or修行していた)方がここを開業した
  • 他にも仲間がいて(目白、等々力)、上記組合とは関係なく独自の松月庵グループを形成している
  • 上記組合には所属していないので、松に月のロゴは使用していない

ということでしょう。想像通りの結果でした。推察混じりですがw

一応、謎は解けたとしまして、話を料理の方に移しましょう。

shougetsuan-gakudaiのメイン画像

肉厚で柔らかいカツ、段階分けして入れられたであろう卵、甘めのダシ。こういう類の店にしてはレベルが高い。みそ汁ではなくお吸い物というのも珍しい。キュウリのぬか漬けは自家製。全体的にこだわりを感じさせます。おいしいです。

shougetsuan-gakudaiの画像

天丼は海老2本という潔さw プリプリの海老と甘めの返しで、こちらもなかなか。返しをたっぷり吸わせるため、あえて衣を広めにつけるあたりに工夫が見られます。

shougetsuan-gakudaiの画像

せいろは2段。二人で行ったからこうしてくれたのか、もともとこうなのかはよくわかりません。機械麺ですが、街場のそば屋の割にそば粉が香ります。水切りが甘いのもあえてそうしているのかもしれません。喉越しをよくするために。

組合系の松月庵はそばが長いというのが特徴ですが、こちらも長めでした。もしかして、機械麺自体が長めになりがちなのかな?

汁はほどよい甘さ。ダシのききはそれなり。悪くはないです。そば湯にはわずかなトロみと香ばしさがありました。

いやぁ、街場のそば屋でこれだったら、十分いいんじゃないでしょうか。

shougetsuan-gakudaiの画像

せいろを二人でシェアしているのを見て、そば猪口をもうひとつ持って来てくれました。松月庵について聞いてくる客なんてまずいないと思うんです。完全にこちらは不審者ですw なのに、丁寧に答えて頂けました。優しい。

店内を見回すと、おじいちゃん、おばあちゃん、家族連れ、熟年のご夫婦、中年男性一人、カップルと、老若男女でぎっしり。手頃な価格でそばが食べられ、目移りするほどメニューがあって。

近隣の方たちに長く愛されている、何でもある優しい街場のおそば屋さん。ほんと素敵なお店です。これからもずっと続くことを願って、店をあとにしました。

※2023年2月19日追記:2021年、東京松月庵麺類協同組合は閉鎖されました。松月庵に関わる登録商標ももうありません。

SHOP DATA

学芸大学の全飲食店リストバナー