「御食事処 とん吉」(西小山)で食べたカツカレーの奥深さ/「勝よし」「とんかつ 三樹」「いやさか」の現状を見て感じた焦燥

連休中の昼。どこかへ食べに行こうと思い、気になっている店を見て回りました。しかし、どこも休みです。そんな中、「まあ、あそこもダメだろうな」と諦めつつ行った「御食事処 とん吉」が開いていました。

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西小山から徒歩10分弱。武蔵小山からも歩いて行けなくはありません。区立向原小学校と区立碑小学校の間と言いますか、立会川緑道の裏手と言いますか、住宅街のど真ん中にポツンとある「お食事処 とん吉」。店名からすると、とんかつ屋のように思えますが、そうでもありません。とんかつ的メニューも豊富ですが、その他にもいろいろな定食があるようです。

カウンターからの眺めはこんな感じです。

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お母さんとその息子(娘)さん夫婦でしょうか? 厨房では3人がテンポよく動いています。注文を取りに来たり、配膳したりの女性陣はとても明るくて優しいです。

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“昼のランチ”でいいんです! かわいいじゃないですか。それに、「ランチってなに?」というくらいのご年配もいらっしゃるかもしれない。あえて強調してわかりやすくする。その気持ちが正解なんです。

店内を見回すと、たくさんメニューがあるようですが、とりあえず”昼のランチ”からカツカレーを注文しました。

出てくるまで、なるべく多くの情報を収集します。近隣で工事等をしてらっしゃるであろう人が主な客層のようです。この辺は何気に工事が多いですしね。隣の方はカツ丼ランチを食べています。おいしそう。スーパードライのポスターが貼ってありますから、お酒もあるのでしょう。夜はつまみ的な物もあるのかな? 座敷もあるし、盛り上がる夜もあるんだろうなぁ。

そんなこんなでカツカレーが運ばれてきました。

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カレー自体の量は普通ですが、その他がなかなかボリューミー。サラダにはポテサラが入っていますし、味噌汁にはつみれのようなものも入っています。ポテサラもつみれもできあいです。

カレーはまあ、ほれ、ねw こういう店ですから。いずれにせよとても甘いです。半分ほど食べたところで、カウンターにあった七味を大量投入しました。

カツは揚げておいたもの。サクっと感はないし、ジューシーでもないのですが、これもまあね。

ただ、単に手を抜きたいと考えているわけでもなさそうです。

サラダにパセリやキュウリを添えたり、味噌汁に水菜を加えたり、カレーに乾燥パセリを散らしたりという、よくわからない妙なこだわりを見せています。最初にお茶、食事と一緒に水、というところも。

こういう古い定食屋でよく感じることでもあります。長年やってきて、多くの客が望む形にメニューが落ちつきます。結果、一般的にはちょっと……と思われるようなことが、当たり前のように繰り広げられる。

カレーがぬるいのも、あえてでしょう。暑さで汗をかいた現場の方々にとっては、熱々、激辛のカレーよりも、これくらいのほうがいいのです。経験上、そうなんです。おそらく。食べ歩きが趣味だなんてぬかすような、こんなしょーもない人間の了見で量ってはいけませぬ。

会計を終えると、みなさんが笑顔で「ありがとうございました」。気持ちのいいお店です。店を出ました。近くに停めておいた自転車に乗り、再び店前を通ると、お母さんが暖簾を片付けていました。時計を見ると12:30。

揚げておいた最後のカツがなくなったのか、あるいは、長年の経験で、連休中の昼はこれくらいになるともうほとんど客は来ないだろう、という読みがあるのか。いや、常連と非常連をふるいにかけるためかもしれないなぁ。

長くやっているからこそ、ひとつひとつのことに理由がある。老舗とはそういうもんです。老舗の奥深さを感じさせられました。機会があれば夜ものぞいてみたいな。

さて、せっかくここまで来たのだから、ちょいと西小山界隈を探索しようとプラプラしました。気になっているお店もいっぱいあるので。

話が前後してしまいますが、「とん吉」へ行く途中、とんかつ屋「勝よし」(東京都目黒区碑文谷1-4-2)の前を通りました。たまたまご主人が店の前を掃除してらっしゃいました。

「こんにちはー。連休中はお休みですか?」

「いや、しばらく休業してて」

「そうなんですか。再開のご予定は?」

「いやぁ……」

休業というよりも、閉店・廃業なのでしょう。残念です。もっと前に店の存在を知り行っておけばよかった……。

※追記:失礼しました。「勝よし」が再開しました。よかった。

とんかつ屋「勝よし」(西小山・学芸大学・武蔵小山)のオーソドックスなとんかつは地域に愛され続けていました~中華「ハルピン」前の妙なカーブの謎

「とん吉」で食べ終え、近くのとんかつ屋「とんかつ 三樹」、焼き鳥屋「いやさか」を見に行きました。両店は同じ区画内にあります。ところが……。

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ああああ。なんてことだ……。この区画はすべて取り壊され、新たに5階建ての建築物が建てられるようです。もちろん、両店がなくなるとは限りません。新築物件で再びご商売を始められるかもしれない。あるいは、他所で再開されるかもしれない。だけど……。

目頭がグッと熱くなるのを感じます。喉の奥がカッと熱くなります。

すぐ目の前の道は整備されていて、とても広くキレイになっています。街にとっては、こうすることもまた必要なことなのでしょう。だけど、私の自転車にとっては、なぜか走り心地がそれほどよくはなく。

急がねば。まだまだある。あそこにも、あそこにも、あそこにも。行っておかなくちゃいけない店がまだまだ。焦燥。

キレイなはずなのに、いささか居心地の悪い広い道。ペダルを踏む足に力が入りました。

※追記:居酒屋「いやさか」は移転していました

潰れたと思っていた西小山の居酒屋「いやさか」が移転していたので行ってみたら、都市整備や古い店のことについていろいろ考えさせられた

御食事処 とん吉
東京都目黒区目黒本町6-18-23
03-3713-0618

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡った飲食店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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