オレとお前と酒とケツ。学芸大学のバー「246(にょろ)」に行ってみな。酔っ払いとケツだらけで最高だからよ

見た目が怪しげな店ってあるよな。え? そういう店にこそ飛び込んでみたくなる? じゃあ、この先を読んでみな。きっといいぜ。

学芸大学の十字街に「焼酎呑ミ処 2nd.(セカンド)」っていう焼酎バーあるだろ。その上にバーがあるんだよ。「246(にょろ)」っていうんだけど、知ってるか? 入口は「2nd.」のすぐ脇の路地を入ったところ。

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だいたい9時ごろからやってるようなんだけど、適当らしいから、まあ、開いてたら行ってみろよ。階段を上るとあるからさ。ちなみに一階も店らしいんだけど、ここもいつやってんのかよくわかんねぇ。

※追記:新しくバーができたんだよ。「BAR VINE(ヴァイン)」。こっちもいいぜ。

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二階は全フロアが店。だから意外と広い。オシャレなソファーとかもあってな。けど、そんなことよりケツ。お尻のケツな。店ん中は全部ケツ。ケツだらけ。女のケツだよ。当たり前じゃねぇか。誰が男のケツ見たいんだよ。ああ、見たいヤツもいるか。すまんすまん。

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たとえば、これ。トリスの瓶で作ったケツ。本当は雰囲気があるから一枚目がいいんだけど、店ん中暗れぇからさ。見えねぇんだよ。仕方ないからフラッシュたいたバージョンも載せといた。

「トリスの瓶で作ったんだよ。本当は69本で作ろうと思ったんだけどな」

「70本になっちゃったとか?」

「いや、67本で諦めた。一ヶ月で作ろうと思ってさ、さすがに一日3本は無理だった」

頭おかしいよなw

「こんなの見せられて愚問ですが、お尻が好きなんですか?」

「女が好きなんだよ」

店主のTABO(たぼ)さんはアーティスト。尻をモチーフとした絵を描いてるんだよ。ライブペイントもやってて、パリのジャパン・エキスポにも行ったりしてるんだって。「初めてのヤツには見せてるんだよ。3分」そう言って、活動の様子をまとめたDVDを見せてくれた。デカい筆でガガガガガ!って尻を描くんだよ。かっけー。つうか、桑沢出身だぜ? ガチだよガチ。ぱねぇ。

「普通の紙には描けないですよね。あれは何に描いてるんですか?」

「段ボール紙みたいな分厚い紙。パリにはベニヤ売ってねぇんだよ」

一杯目はジャックのロック。TABOさんは1リットル入るデカいジョッキにちょびっと酒をついで飲んでる。じゃあ小さいのにしろよ!って思うんだけど、気持ちはわかるんだよなぁ。ある種の”足かせ”にしてんだよ。たぶん。こうしなきゃ止まんねぇから。重くすることで量が減り、ピッチが緩むんだよ。

「乾杯。おれTABO。名前は?」

「ひろぽんです」

「ああ、うちにもう一人、ひろぽんっているんだよ」

「ひろしって名前じゃないですか?」

「そうそう」

「僕もです(笑) なんで『246』なんですか?」

「昔、渋谷2-4-6で店やってたんだよ」

吸ってるのは「echo(エコー)」。オレと一緒。安いからなw

「echoですね」

「そう。一緒だと思ってた」

「安いですからね」

「そうそう。その前は何だった?」

「マイルドセブンも吸ったし、セッターも吸ったし、キャビンもキャメルも。グッとタバコが高くなった時、echoに変えました」

「オレはハイライトだったなぁ。echoは短けぇからよ。一服って感じがするよな。それにしても、よく入って来たな」

「ああ、ぜんぜん大丈夫ですよ。どこでも飛び込めます」

「すごいな。この辺だとどこ行く?」

「いろいろ行きますよ。十字街だとアオギリ美好きんかゴールデン89キャベツ亭も、下の2nd.も」

「よく行ってるなぁ」

「学大界隈だったら200軒近く行ってます」

「長いの?」

「2年くらいです」

「2年でか。すげぇな。オレなんてここ10年になるけど、行くの2軒くらいだぜ」

「ちなみにどこですか?」

「さいとう屋にたまにな」

「えー。僕もよく行きますよ。ボトル入れてます。学大で一番いい居酒屋がさいとう屋だと思ってます」

「そうかい。あいつはオレの弟のようなもんでな。前はウチにもよく来てたんだよ」

「ちょっと待って下さい。弟? だって、さいとう屋のマスターは確かごじゅう……」

「オレの二個下かな。オレは55」

「わかっ」

「そんだけ飲んでるんだったら、あの子知ってるかい? 面白い子がよく来るんだよ」

特徴を聞いてすぐわかったよ。

「あ、○○ちゃんですね。確かに、あっちこっちの店でよく一緒になりますよ」

「やっぱりな。あの子もよく飲んでるよな。面白い子でさ、いっつも走って帰るんだよ」

「走って?」

「ハグしようとしたらさ、バーって走ってくんだよ」

「いや、それは走ってるんじゃなくて、逃げてるんです(笑)」

「そうとも言うな(笑)」

「246」に行ったのはおととい。TABOさんとの会話は全部、一言一句違わず、全部書き起こせるぜ。なぜかって? あまりにも波長が合うから。あっちの言ってることがすべてスッと頭に入っちまうんだな。あまりにも似てて。

けどな。それはオレと似てるって話じゃねぇんだよ。オレにも似てるけど、酔いどれみんなに似てるんだよ。酔っ払いってこうなんだよな。だからお互いに気持ちが通じるんだよ。学大の酔っ払いはみんな「246」に行くのな。いずみんもそう、亮平もそう、あとは差し障りがあるかもしれねぇから書かないけど。

もうひとつ、オレとめちゃくちゃ似てることがあったんだよ。

「今は昨日の残り物を飲んでるって言ってましたけど、普段は何を飲んでるんですか?」

「一日一升って決めてるんだけどさ、最近は金宮のコーヒー割だな」

「僕も同じです。僕はファミマのパックのコーヒーと黒霧島ですが」

「甘党だな。ウチにもいるよ。ファミマのコーヒーで割るのが好きってヤツが。いっつも持って来るんだよ」

ちょっと待て。誰だ? 焼酎をファミマのコーヒーで割るとうまいってのはオレが発見したと勝手に思ってるんだがw いつもそれ飲んでるあそこで一緒になってる誰かか? おい、だったら勝手に広めるなよ!www

「じゃあ一番好きなお酒はなんですか?」

「ラフロイグだな」

これもオレと同じだ。家ではペドロヒメネスのカスクを飲んでるぜ。西麻布にあったバー「ボウモア(PUB&SHOP BOWMORE)」の話も出たなぁ。懐かしい。

ラジカセって今は言わねぇか。なんて言うんだ? まあいいや。そういうのからはブルースが流れてんだよ。

「音楽はこれでいいかい?」

「ぜんぜん。音楽はからっきしで。まったくこだわりがないんです」

「オレと同じだな」

「けど、憧れはあるんですよ。ギター弾けるのとかって、めっちゃかっこよくないですか?」

「わかる。いいよなぁ。オレはクラリネットやりたいって思ってんだよ」

「なぜゆえw あ、わかった。どこかでクラリネットをかっこよく吹いてる人を見たんですね」

恥ずかしそうにTABOさんがうなずいたよw やっぱりなw

「そういや、提灯ありましたよね。いま見たらなかったですけど」

「壊れたんだよ。もともと捨ててあったのを拾ってきただけなんだけどな。沖縄そば屋の提灯で、『沖縄そば』って書いてあったから、バツで消しといたんだけどよ。たまに来るんだよ。沖縄そばないんですかって?」

「ははは(笑) じゃあ逆にもう誤解されなくていいですね」

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ちょいと1、2杯のつもりだったのに、あまりにも楽しくて2時間半もいちまったよ。4杯飲んで3800円だったかな。会計をしたら、TABOさんは下まで来てくれた。普段、そんなことする人かい? よくわからんが。

「ひろぽん、いいヤツだな。面白かったよ」

「いえいえ、こちらこそ。めっちゃ楽しかったです」

「また来てよね」

「ええ、ぜひ」

TABOさんが手を出す。固く握り返す。

店内は暗くてガラクタで溢れてて、ケツだらけで、別に何か凝った酒があるわけでなし、店主は酔いどれでぶっきらぼうで。けど、なんか居心地がいいんだよな。ここでは何でも許されるから。だって、店主がこうなんだからさ。お前がそれなら、こっちもな。それでいいんだよ。いや、そうしてほしいんだよ。

かったりぃ挨拶や気遣いは無用。オレとお前と酒とケツ。それでいいじゃねぇか。年も職業もなにも、んなもんどうでもいいんだよ。そんなもんを振りかざすヤツは酒飲むなよ。めんどくせぇ。

で、最後まで読んだあんた。こんなので行く気になったかい? 面白そう? お前も相当好きだなw もし「246」で会ったらよろしくな。

――店の雰囲気に合わせた文体にしてみましたw

246(にょろ)
東京都目黒区鷹番2-20-4

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡った飲食店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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