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学芸大学のとんかつ屋・かつよしが刻むビートは、とんかつの喜びを表しています~「とんき」風のちょっと変わったとんかつは「アンパンマンのマーチ」で食うべし

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程度と具合にもよりますが、二日酔いの日は無性に濃いものが食べたくなります。家系ラーメン、カレー、あるいはとんかつ。というわけで、前日の飲み過ぎを少々反省しつつ、学芸大学のとんかつ専門店 かつよしに行きました。

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学芸大学駅東口商店街をずっと真っ直ぐ行った先の五叉路にあるとんかつ専門店 かつよし。おそらくは25年以上の歴史があるお店ですが、店内はとてもきれいです。ご主人はとんきの出身だそう(店舗は不明)。そう言われると店の雰囲気は全体的にとんきを彷彿とさせます。白木ではないけど木製のきれいなカウンター、シンプルな厨房、ご主人の無駄のない動き……。

ですが、この"動き"が独特です。常に首を前後に振り、ビートを刻んでいます。BGMは緩やかなジャズですが、これに合わせているわけではありません。首振りのテンポの方が遅い。帰って、ご主人の首振りのテンポを思い返しながら計ってみたら、おおよそ100bpm(Beats Per Minute)くらいでした。100bpmの曲としてよく例示されるのは「アンパンマンのマーチ」。確かにそれくらいのテンポだw

手元は見えませんが、ビートを刻みながら、ギュッギュっと衣をつけ、フライヤーに滑り込ませる。揚げている間にササッとフロアに向かい、おしんこや味噌汁を配膳。タタタッと戻り、カツを上げ、ザッザッと切る。リズミカル。

一般的なとんかつよりも揚げ時間はかなり長めに感じました。ランチメニュー・とんかつ定食ができあがったようです。

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まずはひと口。パン粉がほとんど感じられない、バッター液で揚げられたかのような衣はとんき風。衣のはがれやすさもとんき風。ただ、食感はとんきほどカリッとしていません。あえて例えるなら、ちょっと堅めのアメリカンドッグの衣。

長時間揚げているせいでしょう、肉にはしっかりと火が通っています。かといって堅くなっているわけではありません。肉の真ん中に切れ目があったりもするのですが、これはとんきとは関係なく、単なる隠し包丁かな。脂身がほとんどないのもとんき風。衣も豚肉も油/脂をさほど感じないので、見た目以上にさっぱりと頂けます。

ちょいと甘めの豚汁、適度な塩味(えんみ)のお新香も美味。キャベツ、ご飯はおかわりできるようでした。

会計を済ませ、出口に向かうと、お姉さんが「ありがとうございました」。これに続いてご主人が「ありっさ%’&$たー」と独特な言い方で挨拶なさいました。

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環七沿い、上馬にあるラーメン屋・屋台屋のあんちゃん、大井町の中華・萬来園のお父さん、西荻窪のタンメン・はつねの親子もそうだったかな。それぞれテンポは違えど、独特のリズムに乗って調理します。

そして、ビートを刻む料理人と言えば、この方。

"信州にあやしい動きの手打ちそば屋のおやじがいた!"

「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で高田純次が茶化しに行っていた(笑)、かぎもとや 中軽井沢本店の店主。

これを観ていた当時は大笑いしていました。けど、食・そばに興味を持っている今は感想が異なります。確かにちょっと笑っちゃいはするけど、このビート、リズムこそがおいしさを生み出してるんだよなぁと。

手早く、かつ大量にそばを打つには経験が必要です。そして、経験を積めば積むほど、その人のリズムができてきます。変わらぬクオリティで食を提供するためには、変わらぬ動作が必要です。そう、イチローのルーティンのように。

かつよしのご主人も同様です。もしかつよしに行く機会がありましたら、ぜひ、ご主人の刻むビートを見てみて下さい。ご主人がいかにとんかつを愛しているか、とんかつを作ることにいかに喜びを感じているかがわかります。なんなら、ご主人のビートに合わせて、頭の中で「アンパンマンのマーチ」を口ずさんでもいいでしょう。そうすれば、とんかつがより一層おいしく感じられるはずです。

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