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旬鮮和彩 kou.(学芸大学)の刺身もアジフライもチキン南蛮も、すべてがお見事。信用できる舌を持つ友人の強烈な置き土産でした。

浜松に帰ってしまう「Premier1」の白井ちゃんは信用できる"舌"を持っている友達の内の一人。味心(あじごころ)を教えてくれたのは白井ちゃん。学芸大学で私がボトルを入れてるのはさいとう屋と味心の2軒です。味心を教えてくれた、それだけで白井ちゃんは私の中で特別な存在です。

そんな白井ちゃんが「あそこおいしいですよ」と言うんだから、間違いない。答えはもうわかってる。わかってるけど、それを確かめるべく行ってみました。旬鮮和彩 kou.へ。

※2023年12月16日に閉店しました

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学芸大学駅から徒歩1、2分。学大横丁の向かいにある魚をメインに扱う居酒屋・旬鮮和彩 kou.。店頭の大きな樽が目印です。

「いらっしゃいませ。テーブル席どうぞ」

連れと二人で行ったので、気遣ってそう言ってくれたのでしょう。その気遣いはありがたいですし、当然の対応だとも思います。が、テーブル席になんざ用はありません。

「カウンターでもいいですか?」

「どうぞ」

一人客が増えてきたら、テーブルに移るのもやぶさかじゃない。けど、空いてるんだから、わざわざアリーナ席を逃す手はありません。

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魚なので日本酒です。秋田県でもっとも小さい蔵元とも言われている秋田醸造のゆきの美人 純米吟醸 雄町。米の甘みがしっかり出ています。香りも豊か。けど、たるくない。後味はよくキレます。いやうまい。

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お通しはポテトサラダ、カレー風味の切干大根、ナスの煮びたし。それぞれがそれ自体で立派なメニューになりえるほどの手の込みよう。

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まずは刺身の盛り合わせ。マグロ、寒ブリ、ヘイマ。ヘイマはヘダイの宮崎地方の呼び名。箸をつける前に目で楽しみます。それぞれの包丁の入れかたの違いを見ているだけで、おいしさが伝わります。

ヘイマはネットリとした舌触り。白身ですが濃厚です。細かく飾りの入った寒ブリは脂が乗って甘みがあります。たった一切れでも、いろいろな食感が楽しめます。贅沢な厚さで切られたマグロは食べごたえ十分。

大根のツマはまるで針のよう。シャクっとした歯触りは柔らかい魚の身と見事にマッチ。添えられたワカメは肉厚で、味も濃い。

マグロと寒ブリは3切れ。二人で食べると、1切れずつが余ります。

「どっち?」

「寒ブリがいい」

うっ。やられた。マグロも相当うまいけど、この寒ブリはマグロをしのぐ。そいつを取られました。くぅ。

ひと口食べてはひと口キュ。至福。

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次は大根サラダ。薄く、太めにスライスされた大根が葉物の上に盛られ、カツオ節がこれらを覆います。全体を薄くコーティングしているのは梅のドレッシング。盛りは大胆。味は繊細。先ほどのツマに続いて、大根の無限の可能性を感じさせる逸品です。

次はもちろんアジフライ。もちのろんなのです。

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当たり前ですが、最初は何もつけません。当たり前だのクラッカーなのです。サクっとした衣にフワリとした身。ここですかさずキャベツを口へ。上等。学大では味心のアジフライがダントツですが、このアジフライはそれに匹敵します。細かなキャベツの千切りも素晴らしい。マヨネーズにかすかに見え隠れするのはピクルス? 慎ましさの美。

最後はチキン南蛮。

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ダシのきいたタレをまとい、塩味(えんみ)薄めの、バジルが香る濃厚なタルタルをたっぷり背負っています。すべてが合わさったとき、味付けが完璧になります。タレ、タルタル、鶏唐の黄金比。皿に余ったタルタルは、行儀などお構いなしに、皿を口へやり流し込みます。うめぇ。

ひと仕事終えた店主は大根を桂むき。

「いいとこ見せようとがんばってるんでしょ」

あとから来た常連さんがチャチャを入れます。フフ。いいね。そして、やっぱりアリーナ席でよかったな、と。

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うーん、こいつぁ強烈な白井ちゃんの置き土産。参ったな。餞別にどこかでご馳走しようと思ってるのですが、さて、ここに見合うような店、そして、白井ちゃんがまだ行ったことのない店に連れていけるかなぁ。

それにしても。お見事でした。うまかったです。

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