「旬鮮和彩 kou.」(学芸大学)の刺身もアジフライもチキン南蛮も、すべてがお見事。信用できる舌を持つ友人の強烈な置き土産でした。

浜松に帰ってしまう「Premier1」の白井ちゃんは信用できる”舌”を持っている友達の内の一人。「味心(あじごころ)」を教えてくれたのは白井ちゃん。学芸大学で私がボトルを入れてるのは「さいとう屋」と「味心」の2軒です。「味心」を教えてくれた、それだけで白井ちゃんは私の中で特別な存在です。

そんな白井ちゃんが「あそこおいしいですよ」と言うんだから、間違いない。答えはもうわかってる。わかってるけど、それを確かめるべく行ってみました。「旬鮮和彩 kou.」へ。

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学芸大学駅から徒歩1、2分。学大横丁の向かいにある魚をメインに扱う居酒屋「旬鮮和彩 kou.」。店頭の大きな樽が目印です。

「いらっしゃいませ。テーブル席どうぞ」

相方と二人で行ったので、気遣ってそう言ってくれたのでしょう。その気遣いはありがたいですし、当然の対応だとも思います。が、テーブル席になんざ用はありません。

「カウンターでもいいですか?」

「どうぞ」

一人客が増えてきたら、テーブルに移るのもやぶさかじゃない。けど、空いてるんだから、わざわざアリーナ席を逃す手はありません。

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魚なので日本酒です。秋田県でもっとも小さい蔵元とも言われている秋田醸造の「ゆきの美人 純米吟醸 雄町」。米の甘みがしっかり出ています。香りも豊か。けど、たるくない。後味はよくキレます。いやうまい。

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お通しはポテトサラダ、カレー風味の切干大根、ナスの煮びたし。それぞれがそれ自体で立派なメニューになりえるほどの手の込みよう。

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まずは刺身の盛り合わせ。マグロ、寒ブリ、ヘイマ。ヘイマはヘダイの宮崎地方の呼び名。箸をつける前に目で楽しみます。それぞれの包丁の入れかたの違いを見ているだけで、おいしさが伝わります。

ヘイマはネットリとした舌触り。白身ですが濃厚です。細かく飾りの入った寒ブリは脂が乗って甘みがあります。たった一切れでも、いろいろな食感が楽しめます。贅沢な厚さで切られたマグロは食べごたえ十分。

大根のツマはまるで針のよう。シャクっとした歯触りは柔らかい魚の身と見事にマッチ。添えられたワカメは肉厚で、味も濃い。

マグロと寒ブリは3切れ。二人で食べると、1切れずつが余ります。

「どっち?」

「寒ブリがいい」

うっ。やられた。マグロも相当うまいけど、この寒ブリはマグロをしのぐ。そいつを取られました。くぅ。

ひと口食べてはひと口キュ。至福。

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次は大根サラダ。薄く、太めにスライスされた大根が葉物の上に盛られ、カツオ節がこれらを覆います。全体を薄くコーティングしているのは梅のドレッシング。盛りは大胆。味は繊細。先ほどのツマに続いて、大根の無限の可能性を感じさせる逸品です。

次はもちろんアジフライ。もちのろんなのです。

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当たり前ですが、最初は何もつけません。当たり前だのクラッカーなのです。サクっとした衣にフワリとした身。ここですかさずキャベツを口へ。上等。学大では「味心」のアジフライがダントツですが、このアジフライはそれに匹敵します。細かなキャベツの千切りも素晴らしい。マヨネーズにかすかに見え隠れするのはピクルス? 慎ましさの美。

最後はチキン南蛮。

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ダシのきいたタレをまとい、塩味(えんみ)薄めの、バジルが香る濃厚なタルタルをたっぷり背負っています。すべてが合わさったとき、味付けが完璧になります。タレ、タルタル、鶏唐の黄金比。皿に余ったタルタルは、行儀などお構いなしに、皿を口へやり流し込みます。うめぇ。

ひと仕事終えた店主は大根を桂むき。

「いいとこ見せようとがんばってるんでしょ」

あとから来た常連さんがチャチャを入れます。フフ。いいね。そして、やっぱりアリーナ席でよかったな、と。

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うーん、こいつぁ強烈な白井ちゃんの置き土産。参ったな。餞別にどこかでご馳走しようと思ってるのですが、さて、ここに見合うような店、そして、白井ちゃんがまだ行ったことのない店に連れていけるかなぁ。

それにしても。お見事でした。うまかったです。

旬鮮和彩 kou.
東京都目黒区鷹番3-9-5 日光堂ビル 1F
03-3760-5055
食べログ

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡った飲食店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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