駒沢大学の「大野商店」で買った魚介と、隣の「遠慶(えんけい)」で買った青果で、海鮮丼を作り、無謀にも寿司を握ってみた~プロが選んだ旬ものを自分で調理する贅沢

お昼時。なぜか口が海鮮丼になったんだから仕方ない。こうなるともう止められません。炊飯器のボタンを押して、学芸大学の鮮魚店「滝八」に行きました。ところが、刺身は午後2時以降になる、と。くぅ~。もう一店、気になっている鮮魚店は駒沢大学。遠いけどがんばるか。

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国道246号線と駒沢公園通りが交わる駒沢交差点。この交差点の角に八百屋「遠慶(えんけい)」があります。大きくてとても目立ちます。で、その脇をよーく見ますと……。

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建物の柱に隠れるように「大野商店」という鮮魚店があります。グイッと奥へ進むと……。

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まるで市場。いいなぁ、こういうの。

当店は天然の魚のみ販売

自家製の紐のはとりたての魚を天日干ししているので”格別に旨い”

冷凍品は見本

天然えび カジキ等 冷凍ものは在庫が豊富にあります

ポップの強めの主張に職人気質がうかがえます。さて、どれにしましょうかね。

「お兄さん、見てるの?」

「ええ、頂こうかと思ってるんですけど、どれもおいしそうで」

「そうかい。まあ、ゆっくり見なよ。魚は逃げねぇからさ」

『後世に残したい昭和のセリフ』という書籍を作るなら、この言い回しは絶対に入れるべきだなw あと、会計時の「300万円ね~」もね。

とりあえず、「地タコ」は買おう。タコが好きだし、うまそうだし。あともうひとつは……。

「何がおすすめですか?」

ここで「おすすめなんてねーよ。どれもうまいんだから」と返ってきたら、昭和的に正解。

「かわはぎがいいよ。あと、コハダ。正月用に漬けたんだけどさ。余ったら冷凍しといて、使う分だけ解凍すれば大丈夫」

優しく教えてくれましたw

「じゃあ、地ダコとコハダを」

「1250円ね」

「こちらは長いんですか?」

「50年くらい。最初はあっちで、そのあと、下馬に移って、そっち行って、ここにね」

指を指しますが、どこだかよくわかりませんw まあ、どこでもいいっちゃあいいんですが。

「随分、長いですねぇ。ありがとうございました」

「また寄ってね」

ぶっきらぼうですが、親切なお父さん。こういうコミュニケーションが取れるのも専門店のよさ。いいお店だったなぁ。

「大野商店」を横に出て、そのまま八百屋「遠慶」へ。大葉とカイワレを買いました。ふたつで100円ほど。激安。タコとコハダだけでは少し寂しいので、スーパーで刺身3点盛りも購入。

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帰るとご飯が炊きあがっていました。タコとコハダを薄く切って海鮮丼を作ります。

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ドーン! 素人の適当な盛り! センスゼロ!w 真ん中のガリは自分でショウガを漬けました。

まずはコハダだけをパクッ。いやぁ、肉厚で締まり具合が酸っぱすぎずうまーい。次はタコ。コリっとしているのに柔らかい。そしてタコ感が濃厚。茹で具合が浅めで生っぽさもある。こりゃやばいぞ。

丼を持って、ワシワシとかき込みます。いろいろな具材が混ざって、口の中は大賑わい。たまりません。最高。

すべて食べ終えて、タコでもう一品。

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前日に学芸大学の「日本酒専門店 圭」で食べたタコの山椒和えにインスパイアされた一品。タコをぶつ切りにして、以前大量に作って保存しておいたバジルペースト(ジェノベーゼペースト)で和え、花椒(ホワジョウ)をたっぷりふりかけます。

ばかです。ばかうまです。バジルと花椒の組み合わせもいいのですが、これほど強い味付けにタコが負けていない。さすが地ダコ。地ダコの地力はハンパない。なんぼでも食えるなこりゃ。もし夜に食べてたら日本酒が止まらなかっただろうな。

翌日。

コハダがまだたっぷりと残っています。コハダと言うには少々大きめ。コノシロと言えそうなサイズなので、本当は押し寿司にでもしたいところ。ですが、道具がないので、ええいままよ、握っちゃえw

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うわあああ。はずっ。素人が適当に握るとこうなるんです。はずっ。でもいいんです。やってみることで、いろいろなことがわかります。食材の扱い方、おいしさの引き出し方、調理の仕方。さらに、外で食べた時により一層おいしく頂けるようにもなるんです。

「ああ、こうするからおいしいんだ」

「こりゃさすがに素人には無理だなぁ。プロの技ってのはこういうことなんだなぁ」

と。料理は食への理解を深める手段でもあります。

それはともかく。

ちょいと醤油につけてひと口で一貫パクッ。おおお。シャリはなんちゃって酢飯だし、握りは適当だし、切り方もおかしいし、寿司にするには身が肉厚過ぎるけど、でも、うめぇ。そうか、このまま食べることを想定しているから、結構甘めに締めてるな。醤油なしでも十分いける。

コノシロは「飯代魚」。漢字一文字だと「鮗」。冬の魚で、メシ代わりの魚。いいじゃないですか。風情があって。

プロが腕によりをかけて作る料理を頂くのも贅沢。プロが選んだ旬ものを、ぎゅっと目をきかせて買ってきて、自分で調理して食う。これもまた贅沢。

大野商店(おおのしょうてん)
東京都世田谷区駒沢3-1-3

遠慶(えんけい)
東京都世田谷区駒沢3-1-1

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後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡った飲食店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

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