MEAT JOURNEY 2018

居酒屋「ひとひら」(学芸大学)のけれんみのなさたるや。魚、日本酒、内装、接客、すべてにおいて過剰な飾りがなく、シンプルな奥深さを感じさせます

飲食店の出店ラッシュだった学芸大学の5月。ここ「ひとひら」もその内の一軒。2016年5月17日のオープン以来、連日大賑わいでした。もともと三軒茶屋でやっていた方なので、その時の常連さんや友人たちが押し寄せていたのでしょう。少し落ちついてから行った方がいいな、というわけで、2週間ほど経ってから行ってみました。

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学芸大学駅から徒歩1分。東口商店街の「恭文堂書店」の角を右折、飲食店が立ち並ぶ筋にできた居酒屋「ひとひら」。カウンター10席ほど、4人掛けテーブルが3卓ほどあり、表には立ち飲みスペースもあります。

とりあえず何か飲みながらメニューを考えますか。

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「このグリーングリーン割ってなんですか?」

「緑茶割りです」

「じゃそれで」

ほどなくやって来たグリーングリーン割は緑茶風味が濃厚な焼酎割です。こりゃいいや。

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関あじも気になりますが、カンパチの黄身醤油がキャッチーだなぁ。カンパチをお願いしました。

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おおう。こりゃうまそうだ。日本酒行きたいな。

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「『寫楽』ってなんて読むんですか?」

「しゃらくです」

「じゃそれで」

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受け皿なみなみ。切子に口をつけツイッとひと舐め。ほどよい甘さ、ふくよかな香り、喉越しは爽やかで後味はキレる。いいなぁ。うまい。

カンパチの表面は脂で光ってます。黄身を溶いた醤油につけ食べると、とてもまろやか。カンパチがまだ少し口内に残っている段階でお酒をキュ。たまらん。

日本酒を頼むとチェイサーとしてお水が出てきます。けど。

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緑茶割りをチェイサーに日本酒で魚をチビリ。ははは。あまり品のいい飲み方じゃないかもしれませんが、これはこれで。贅沢。

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ゆっくりと魚をつまみつつ、店内を見回します。結局、オープン当初とそれほど変わらず、前の店からの常連と思しき人たちで賑わっています。一番奥のテーブルには店主のご両親と妹さん。スタッフはみな、三軒茶屋から付いて来たのだそう。店主の人柄だ。

それにしても、この内装いいなぁ。広く開いた間口。カウンターの壁面はタイル張り。椅子は高さが調整できるレトロな趣。ほう、カウンター下の奥にはフックがあるのか。軒先に下げられた杉玉も風情がある。

トレードマークは頭(こうべ)を垂れる稲穂、昇る鯛、そしてひとひらの花びら。しゃれてるなぁ。

シンプルではありますが、細かいところに凝っています。レトロ感を出したくなるところですが、やり過ぎない。ちょいと毛色は違うかもしれませんが、学芸大学なら「カブ」、他所なら「牛泥棒」(白金)を彷彿とさせるセンス。いい。

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「ひとひら」Facebookページより

魚を食べ終えました。少し残ったワサビは取り皿に取っておこう。黄身醤油ももったいない。あとで使えるかもしれないから下げられないようにしておくか。

さて、次は大山鶏の鶏ハムねぎソースがけを行ってみよう。鶏ハムは自分でもたまに作ります。プロのお仕事で勉強だ。

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おお。すごい。ソースのねぎは玉ねぎで、上に白髪ネギを乗せるのか。なるほど。ソースはかすかにショウガがきいています。鳥肉自体にしっかりと塩が浸みています。おいしいし上手というふたつの意味でうまい。

もちろん経験があって、かつ、しっかりと計量してるから、ビシっと塩を決められるのでしょう。でも、酒にあてるためのこの塩梅がちょうどいい。センスなんだよなぁ。勉強のはずがギャフン。

でね、ここで例のヤツが活きてくるのですよ。ワサビをちょいと乗せてみたり、黄身醤油を垂らしてみたり。ふふん。ただでさえおいしいのに、さらに幾通りもの味付けで楽しめる。いいだろう。自己満足的愉悦。

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オープン間もないし、これだけ混んでるのに、手がよく動く。滞りなく料理が出されていきます。メニュー構成がいいんだな。一人でもきっちり回せるようにしています。このへんも上手だなぁ。

「このあたりにお住まいですか?」

スタッフの女の子が話しかけてきました。

「ええ」

「知り合いがたくさん来ていて騒がしいですよね。すみません」

「いえいえ、ぜんぜん」

はずみをつけられるってのは幸せなことです。

「ひとひら」を出て某バーへ。深夜、いつも通り”先生”と鉢合わせ。”先生”は「チャラン-ポラン (CHA爛-PO走)」などの空間デザインをしている方です。

「先生、今日、新しくできた『ひとひら』に行って来たんですよ」

「どうだった?」

「おいしいのはもちろん、内装デザインがいいんですよねぇ」

「あれ、オレの後輩がやったんだよ」

「まじっすか。いやぁ、いいですよ。やり過ぎてない。あの感じがすごくいい」

「ありがとう。後輩に伝えておくね。喜ぶよ(笑)」

いろいろ裏話が聞けたのですが、伏せておきましょうw

料理にも内装にも接客にも過剰さがない。飾らない。だからこそ実(じつ)が際立つ。シンプルなんだけど奥深い、そのさまはまさに、初夏の風に舞うけれんのないひとひらでした。

ひとひら
東京都目黒区鷹番3-3-19 YKⅡビル1F
03-6886-4316
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