「美かわ家」(学芸大学・祐天寺)のかき揚げ丼セット(もりそば)は味が濃い目なんですがおいしかったです。この濃さに老舗のたくましさを見ました

※追記:記事最後尾の後日談も併せてぜひ

mikawaya_soba_09

学芸大学のそば屋「美かわ家」と「入船」は、実は道一直線上にある。単なる偶然でまったく無意味なつながりですが、そんなしょーもない発見をしてウヒヒとなるです。こんにちは。

というわけで「美かわ家」。学芸大学駅・祐天寺駅から徒歩10分強。中央中通りのすぐ近く、旧目黒区役所ことThe目黒 目黒四季レジデンスの脇にある老舗のおそば屋さんです。

mikawaya_soba_02

この外観……。瓦の軒、瓦を支えるかのごとく張り出した両端、レトロなタイル張り、茶色とクリーム色の壁、木目調の格子窓。おおう、「入船」の外観とそっくりじゃないか。単なる偶然なんですが。ウヒヒ。

店に入ると、強めの醤油の香りが出迎えます。なるほど。これでもう、この店の味がなんとなくわかる。ガッツリ来ていいよ。ガッツリ食べたいから来たのだし。

mikawaya_soba_03

意外なほどに広い店内。座敷もあります。壁には出前用の朱色の盆がずらり。そば屋で一番好きな景色です。なんかね、いろいろなことを語りかけてくるんですよ。盆が。盆の存在が。

mikawaya_soba_04
mikawaya_soba_05

魔が差したってわけでもないのですが、その日はカツ丼セットではなくかき揚げ丼のセットにしてみました。ただただなんとなく。

おそらく私が口開け。続いておばあちゃんが数名。そして女将さんも。ほう。フロア対応は確実に娘さん。顔が激似。けど、女将さんの厨房への挨拶の仕方からすると、中でやってらっしゃるのはお父さんではないのかな。どうなんだろう。

それなりに時間がかかっていました。娘さんが注文を取る様子などを見ながら、ゆっくりと待ちます。

「お待たせしました」

mikawaya_soba_06

白いそばと黒いかき揚げ。四角い盆に丸い器。美しいコントラスト。

mikawaya_soba_07

そばの香りはそれほど強くありません。コシもそこそこ。優しいそばです。ツユは想像通り濃い目。けど、しょっぱいわけでも甘ったるいわけでもありません。なんだろうな。濃いんだけど嫌にならないまろやかさ。さっぱり目のそばにはこれくらいがいい。

mikawaya_soba_08

かき揚げのツユも同様です。濃いです。けどしょっぱくはない。たるくない。かき揚げの中はなんだったっけ。カボチャはわかった。緑はインゲン? おそらく季節によって変わるのでしょう。ガッツリとしたかき揚げは望み通りでした。ご飯の炊き具合もちょうどいいな。

ためしに、かき揚げとそばを合わせてみます。うん、これもいいぞ。次は多めのワサビをかき揚げに乗せてご飯をかきこんでみるか。おお、これもまたよし。濃いそばツユは供されたそば湯でピッタリ飲み干せました。

じゃあ、これが特別に上等なそばセットかというと、そうではないかもしれません。でも、近くにあって嬉しいそばです。そして、濃いのにスッと食べられるこの感じは印象に残ります。おそらく1年後でも、はっきりとこの味を思い出せるでしょう。いいセットだったなぁ。

「お会計お願いします」

「ありがとうございます。800円です」

「こちらはどれくらいになるんですか?」

「先代からだと昭和28年」

「へー、長いですねぇ。ごちそうさまでした」

「ありがとうございまーす」

まだ民家も少なかったこの地に目黒区役所が移ってきたのは昭和11年。目黒区役所とともに町ができあがり、人が集まり、活気のある界隈になっていたはずです。ところが平成15年、目黒区役所は中目黒のほうへ移転しました。

どこだったかなあ、この付近の店でこんな話を耳にしたことがあります。

「区役所が移転して、商店街も人がぱったり、ね」

「美かわ家」に並んでいたあの出前の盆も、きっと今では活躍の機会が減っているでしょう。けど、近隣のご年配方は当時と変わらず「美かわ家」へやって来ていました。近くで工事をしていると思しきあんちゃんたちもいました。「美かわ家」はまだまだ健在。あの濃いめのツユは老舗のたくましさ、力強さを表しているようにも思えるのでした。

おーい、入船さんよー。こっちの仲間も元気だぜー。ちょっと遠いから聞こえないかw

美かわ家
東京都目黒区中央町2-11-13
03-3712-5007
食べログ

約1年後の後日談(2017年4月14日追記)

昨日、某バーである女性に声をかけられました。

「ひろぽんさんですか?」

「はい」

「美かわ家です」

上の写真に後ろ姿が写っている美かわ家の女性(娘さん)でした。それだけでもビックリなんですが、話をしていて、衝撃的な事実がいろいろ判明しました。

まず、女将さんの挨拶について。純粋な身内に対する挨拶には聞えなかった理由は、奥にいらっしゃったのが娘さんの旦那さんだったから。つまり、義理の母親と義理の息子という関係だったら、でした。

そして、単なる偶然を書いたつもりだったのですが、なんと、「入船」と「美かわ家」は親戚筋でした。もうね。まじビックリ。

「よく気づきましたね」と言われたのですが、気づくも何も、本当に適当に書いただけ。そんな事実は一切知らなかったので、本当にびっくり。だってさぁ、親戚筋だからって、家の外観が似てなきゃいけないわけでもないじゃん。我ながら、おかしな一致をよく見出したな、とw

「美かわ家」の屋号の由来は娘さんもよくわからないとおっしゃってました。もともとが愛知の方の出だからかな、ともおっしゃっていましたが(確かw)。

「いつもカツ丼なんですよね。今度、カツ丼食べに来て下さい」

はい、ぜひ!

約1年後に判明した衝撃の後日談でした。

member_goto02.jpg

後藤ひろし(ひろぽん)

雑誌・書籍編集兼ライター、ウェブディレクター。主に学芸大学駅(学大)界隈で飲んでます。学芸大学で巡った飲食店の数は約350軒。

https://twitter.com/gokky_510

こちらの記事もあわせてどうぞ